前回、デイサービスの経営難について触れさせていただき、デイサービスの売上は
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売上 = 稼働率 × 通所単価
ということについてお伝えさせていただきました。
今回は通所単価について触れていきます。
デイサービスの経営者の方、中間管理職の方向けに書いていきます。
タイトルにもあるように人気がある=稼働率が高いだけでは事業として売上が安定しません。
なぜ人気があるだけではダメなのか?
結論から申し上げますと、通所単価が低ければ稼働率が高くても売上は比例して伸びません。
これまでもそうでしたが、介護保険法の改正から影響が出るのはこの通所単価に関わる部分です。
基本報酬や加算が主になりますでしょうか。
いくら稼働率が高くでも通所単価が低ければ売上には繋がらず、人件費や固定費が変わらなければ法改正の度に利益が少なくなってしまうのです。
ピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんので、一度振り返ってみましょう。
小規模・半日型のデイサービスのこれまで
具体例を上げた上で時系列の変化をお伝えしたいと思います。
数的には多い部類に入る半日型の規模が小さいデイサービスはどうでしょうか?
10名未満の定員数であれば建築法も厳しくなく、看護師の人員配置もナシでOKということで2015年の春までは爆発的に増えました。
フランチャイズ展開をコンビニの跡地でスピード感を持ってスタートするケースが多かったでしょうか。
2015年の改正で小規模・通常規模の人数が少ないデイサービスは地域密着型という新しい規模に移行されました。
このときに地域密着型になることで色々とルールも変わったのですが、今回触れたいのは単純に基本報酬が数%下がりました。
ちなみにデイサービスの利益率って5%ほどと言われています。
この2015年まではもう少し高かった印象ですが・・・
ここはなんとか凌げたのですが、2018年の改正が致命的でした。
要介護の利用者の基本報酬は2時間刻みで点数を算定できる仕組みでしたが、この年から1年刻みとなりました。
単純に半日型のデイサービスで請求できる3時間〜5時間という区分が3時間〜4時間、4時間〜5時間という区分になったいうことです。
当然サービスの実態が変わりませんので3時間〜5時間は3時間〜4時間になったということです。
同じサービスをしていて、かけている手間は一緒なのに点数だけ下がったということです。
これはしんどいですね・・・
全てのデイサービスが影響は受けたのですが、特に半日型のデイサービスは全利用者の基本報酬が1つ下の区分になる仕組みだったという点が致命的でした。
厚労省としても、かけた手間に対して報酬を支払うという指針ですのでこれは文句が言えませんね。
逆にこれまで2時間刻みとざっくりな利用時間で同じ報酬体系だったことの方が問題だったなと思います。
2018年の改正にはもう一つ、ADL維持等加算という利用者の自立支援や重度化防止に努めた施設にインセンティブを出すという加算が試験的に導入されました。
これは2018年時点では試験的ということもあり、点数は雀の涙ではあったのですが2021年以降の法改正では国が明確に力を入れると言っています。
ですが、現行の法律だと1日以上利用される利用者の割合が多くないとこの加算は算定できません。
つまり半日型のデイサービスではこの現行のままいくと国が力を入れていく方向性に乗れないということです。
かなり逆風な中生き延びているデイサービスもありますが、今後の展開に注目です。
ここまでで半日型のデイサービスを例に上げましたが、お伝えしたいのは利用者から人気でニーズがあっても、通所単価はコントロールしにくいという点です。
特に規模が小さい施設の場合は通常規模以上の施設と比較すると人手を増やして定員を上げたり、加算を取りにいったりという工夫の余地がありません。
ですので、安易にデイサービスを開業できる時代ではありません。
理由は明確です。
国の財源に依存するビジネスになりますので、今がよければスタートできるわけではなく、王道をいかなければなりません。
今後の王道は認知症利用者・中重度の利用をみる施設は当然必要ですが、それ以外の施設はただのレスパイトや名ばかりの機能訓練でなく、アウトカムを出していかなければなりません。
それが結果的に自立支援・重度化防止に繋がるからです。
これからの高齢化・今回予期しなかったコロナウイルスの蔓延からもこの方向性は避けられません。
まとめ
繰り返しお伝えしますが、稼働率も大切です。
利用者に選ばれなければ事業として成り立ちません。
しかし、診療報酬・介護報酬と国の公費で運営している事業は単価の部分がアンコントロールなため、自分たちの施設と国の方向性が合っているかを常々数値としても把握していかなければなりません。
住宅とデイサービスを併設して、住宅費用を安くして介護サービスを使ってもらうようなモデルも少し前に流行りましたがこれも同一敷地内減算としっぺ返しを受けました。
王道から考えれば当然のことです。
しっかりと稼働率を上げるために(ニーズを満たす)サービスを提供しながら王道をいくことが大切です。
また、今後は単価が下がってきても固定費・変動費を下げていく工夫・そのためにITツールを駆使することも求められるでしょう。
年々、厳しくなっていく中で現状を数字で把握することが大切になります。
管理者の方・これから管理者を目指す方は是非肝に銘じてください。
本日は以上とさせていただきます。